G軍曹の書斎

小説です。

「ディザスター王国③」

外に出るとさすがに昼間だけあって多くの人が市場やら店やらを行き来している。

市場でディザスター王国特産の「スターアップル」を見つけたブルーアイズはそれを買い、食べながら歩く。

さすが数少ない王政の国...といったところだろうか......。レンガを主として造られた町並みは、城下町ならではの雰囲気を醸し出している。歴史を感じられるその風景に自然と足並みも軽くなる。

あちらこちらを見て密かに(?)観光を楽しんでいると、彼の目の端に肩を震わせている少女が入った。ローブ姿にヒラヒラした服装の銀髪の少女だ。その顔は真っ青である。

大丈夫だろうか...と、ふとブルーアイズは心配になったが、すぐに連れと思われる黒髪のコート少年と共に路地裏に入っていったので良しとした。

大体の事を察した彼は路地裏から目を逸らす。

静かな断末魔が聞こえた(気がした)。

おそらく今日は彼女の黒歴史になるだろう・・・そう彼は確信した。

そんな他愛もないことを考えていると、ポケットの中で「P.P」鳴った。

(『P.P』とは国際警察の支給品の一つで、データ共有などに重宝される。ネーミングセンスはあれだが、何かと便利な代物だ)

「さて、何だろう・・・」

そう言うと、ブルーアイズは慣れた手つきでデータファイルを開く。

ロード画面と共に「しばらく待てよ豚野郎」の文字が表示される。

30秒くらい待った後、「P.P」の画面に人物データが表示された。

この名前の割に平和な国の王家の人々である。

興味津々というようにブルーアイズは画面に釘付になった。

ディザスター王...なるほど、こんな顔なのか...、などと思いながら見ていると、この国のお姫様の項目で目が留まる。

「え・・・・!?」

思わず声が漏れた。

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彼の視線の先には、先ほどのゲ○リンガール(仮に○ロリンガール=G.Gと呼ぼう)と酷似した少女の写真が写っている。顔色を除けばそっくり、もはや同一人物に思える程の酷似である。

目の錯覚か......?、そう思ったが何度見てもそっくりだと思ってしまう。いやいやまさかな......。

念のため先ほどのG.Gを見るべく、彼は視線を路地裏に向ける。

すると、ぐったりとしたG.Gが連れ(と思われる)少年に背負われ出て来た。

残念なことにG.Gは少年の背中に顔を埋めているため顔の再確認はできない。

まぁしょうがないか...そう思い再び歩き始めようとした時だった。

「大丈夫?お姫様・・・?」

と少年が小声で言ったのが聞こえた(聞き逃さなかった)。

(...お姫...様......?...)

 

ブルーアイズは全身から変な汗が出るのを感じた。

その顔は先ほどのG.Gのように青ざめている。

 

(まさか...ね...ahahahahahaha......)

すると、ブルーアイズは右に180度回転し、来た道を走り始めた。

 

なんだか見てはいけないものを見た気がした彼はただひたすら全力で走った。

この出来事を忘れられることを願いながら・・・。

 

 

*この物語はそめちめ(sometime1209)のお話の世界と同世界です。 挿絵は後で入れます。

そめさんのお話のついでに読んで貰えたら幸いです。

(感想とか書いてもらえるとモチベーション上がります)

 

次回も城下町探検です。

「ディザスター王国 ②」

静まり返った街に一筋の光が差し込む。朝日だ。

 
先ほどまで吹いていた陸風が止まった。凪である。


物音ひとつしない早朝の街に一人の男が現れた。
その男は黒いマントで体を包んでいる。 
 
''今だな...''男はそう言うとマントから手を出し何かを唱え始める。
すると風が男を包み、男の体が宙に浮かんだ。
どうやら浮遊魔法を唱えたらしい。マントの男は徐々に上昇していく。
ある程度の高さまで達すると、その体は城の方向へ傾いた。
 
今度は城の上空に一つの人影がある。先程とは違う男だ。マントはつけていない。
マントの男はその男に近寄る。
男はマントの男に何やら紙を渡した。
''これが例の姫様か...腑抜けた顔してやがる''    ''そうだ...「腑抜けた」は余分だがな...''
男たちは上空で話を続ける。
''この国にはもう奴らが来ている...急がねば......''    ''奴ら......国際警察か、じゃあ今夜か?...''
マントの男はコクリと頷いた。
そしてニヤリと笑った。
 
 
太陽全体が姿を見せると再び風が動き出す。
その風でマントの男はフラフラと揺れた。
''どうした...?''    ''昨日魔力を使いすぎた...''     ''大丈夫か...?''
もう一人の男がマントの男を支える。
''今日の夜までには治るさ...''
マントの男は大丈夫だ、というようにもう一人の男から身を離した。
一通り話を終えたのだろうか、男たちは下降を始める。
その姿が城の向こうに見えなくなったのと同時か直後に強い海風が吹いた。
 
 
一日の始まりである。
 
 
 
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太陽がちょうど真上に登ったころ、ブルーアイズは目を覚ました。
 
昨日の夕方、この国に入国(不法侵入)した後活動拠点となる宿を探した。が、どこも満室で、やっと見つけた部屋も一部屋しかなく、しかもダブルベットの部屋なのだった(シングルベッドが二つある訳ではない)。
 ブルーアイズは一緒のベッドでも全く問題は無かったのだが、リニアとの交渉(一方的)により、何故か床で布一枚で寝る羽目になったのだった。

それを思い出した彼は悲しい気持ちになる。

「もう昼か......」
ブルーアイズは窓の外を見てつぶやく。
そして、気持ちを奮い起こそうとするかのようにブルーアイズは体を起こした。
床で寝たせいか体中がバキバキである。うぅ......。
うめき声と共に起き上がった彼だが、寝起きの回想があまり良くなかったのか全くやる気が起きない。
昨日リニアと話し合った結果、警備や探知魔法が働いているため昼間は動けないという意見で一致した。
この国は四方を災害対策の魔法や壁で囲まれているため、下手に超えようとすれば探知魔法で見つかる。それにターゲットは昨日の交戦で魔法を使いすぎている、完全に回復するのはおそらく夜まで休まなければならないだろう。

故に今はやることがない。
グータラしているのはそういう訳である。
横にあるベットからはリニアの寝息が聞こえる。リニアはまだ寝ているようだ。

でも町くらいは見ておいたほうがいいか・・・、そう思った彼は服を着替え、出かける準備をした。
一瞬リニアを起こそうと思ったが、彼女を見た途端起こす気が失せた。
リニアは枕を抱きながら寝ている。ムニャムニャと寝言を言いながら寝返りを打つ。
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「寝顔は可愛いのにな......」ブルーアイズがそう思った次の瞬間だった。
「何見てんれすか......殺しもふよ..........ビリビリッ」
リニアは寝言(?)をつぶやきながら枕カバーを噛みちぎった。
彼女は微かに赤い電気を帯びている。どうやら夢の中で何かと戦っているようだ。
目の前で少し信じがたい光景を見たブルーアイズは何も言わずベットから離れた。
その額には汗が浮かんでいる。
(.............................................!!)

彼は「ちょっと出てくる」と紙に書くと自分のベット(床)に置いた。
そして、足早に宿を出ていった。





*この物語はそめちめ(@sometime1209)と同じ世界で進んでおります。
今回はもっと長く書けたんですが、挿絵の関係で少し短めです。
文も相変わらずの崩壊っぷりです^ - ^
何より一番悲しいのは挿絵の仕上げをミスったことですね。(後日、書き直したやつを上げるかも)


次回もよろしくお願いします^ - ^



 
 
 
 
 

「ディザスター王国 ①」

ここディザスター地方は、グラメリア、ボルケイ、ディザスター、ハルクードの4つの国からなる地方であり、国同士の結びつきが強く災害が多いことで有名だ。

この4つの国の真ん中にあり、中枢国でもあるディザスター王国は数少ない魔法の国である。魔女の血統を持つ国で、軍隊や災害対策もレベルが高い。
また、この国は小さな国ながら、台風多発地帯、火山帯、地震多発地帯の全てに属しており、災害が多く、人々は災害の国=Disaster(ディザスター)と呼んでいた。それが今の国名に至るのである。
 
そんなこのディザスター地方に2日前、この国の隣国ボルスト共和国でテロ組織の一人が目撃された。
逃走中の国際指名手配犯である。
これを受けて国際警察は「Remove」の二人を派遣したのだったが...。
 
 
 
 
「にしてもよぉ...」
ディザスター王国とボルスト共和国の国境付近に佇む少年はそう言った。
彼の名前は「ブルーアイズ」、派遣された「Remove」の一人である。
「いくら火山帯だからってさぁ、こんなデカイ壁いらねぇだろ...」
そう言ってブルーアイズは壁を見上げる。
彼が言っている「デカイ壁」とは、ディザスターとボルストの国境であり、ディザスターを火山から守るための厚さ20m、高さ50mの巨大な壁のことである。
「凄いですね、これ全部石で出来てます...」
そうブルーアイズの傍らにいる少女は言った。枝で壁をつついている。
彼女は「リニア」(本名はリニア A  アンペアらしい)、同じく派遣された「Remove」である。
 
「それにしても派手に交戦してこれかぁ。怒られそうだな」
とブルーアイズ。
「怒られますね」
とリニア。
二人とも深刻そうな顔をしている。
 
 
 
今から30分前に彼らはターゲットと国境付近で交戦した。
相手は魔法使い。腕もなかなかのもので、壁に追い込んだのだが浮遊魔法で壁の向こうに逃げられてしまったのだった。
その際、民家三軒と舗装された道路を破壊してしまったのである。
物を壊して敵を逃がす。
笑えない話だ。
 
 
「しょうがない、やれるところまでやりますか」
暫く考えた後、ブルーアイズは言った。
彼の左手には30cmほどの石が握られている。
それを見たリニアはブルーアイズから5m程距離を取る。
「ちょっと悪いけど...!!」
彼がそう言った次の瞬間、石が消え、ものすごい爆発音が鳴り響いた。
正確にはものすごい速さで壁に飛んでいった石が爆発した、である。
砂埃が立ち込める中、ブルーアイズは一人服についた石の破片を払う。
 
 
「穴は開きました?」
リニアはブルーアイズに尋ねる。
爆風に少し飛ばされたらしい。スカートに砂がついている。
「ああ、開いたよ」
そう言うとブルーアイズは手を右から、左へ動かす。
そうすると強風が吹き、視界の埃を全て払っていく。
 
「ほらね」
彼はドヤ顔で壁を指差した。
そこには、先程はなかった1.7mほどの穴が空いている。
 
「行こうぜ!」
そういうと彼は先に行ってしまった。
リニアはやりすぎた感を一人感じていた。
「これで捕まえられなかったら本当に首ですよ...私達」
リニアが、ぼやく。
 
 
 
こうして二人はディザスター王国に入国(不法)したのだった。
 
 
 
 

 

 
 
*この物語はそめちめ(@sometime1209)の話と同じ世界の物語です。
今回は試しに挿絵いれてみたよ^_^
なんか文がおかしい気がしたよ←
 
 
 
 

プロローグ

200年にも渡る戦争が終わり、20年前の1月1日、全世界155カ国を対象とした「155カ国平和維持同盟」が結成された。
文字通り、平和維持を目的とした同盟である。
この同盟が成立するにあたり「司法」「治安維持(行政)」「立法」の3つの部門からなる国際組織「国際平和維持連合(IPK)」が発足した。
(司法・・・法で裁く 行政・・・法のもとでいろいろやる  立法・・・法をつくる
 噛み砕いて言えば、国同士のイザコザとかを155カ国の代表者によって決められた法をもとに解決した   り、その法を決めたり、各国の治安維持をします。 主に治安維持。)

これで永遠の平和が訪れる...そう誰もが思っていた。
しかし、現実は甘くない。
平和を乱すのは国同士の争いだけではないのだ。

8年前の9月、この組織の本部がある「ノースアイランド」で大規模な爆発テロがあった。
魔力を使った水素爆発で、本部ビルは空へと吹き飛ばされ、瓦礫の雨が町に降り注いだ。
この事態を重く見たIPKは急遽各国代表を集め、緊急会議を開いた。
その時の会議で組織されたのが、「国際平和維持連合軍」である。
そして、IPKの治安維持部門の国際警察は秘密裏に裏の暗殺部隊「Remove」を組織したのだった。

そして現在、以前に比べテロの頻度が年々増えており、国家間での不安が高まっている。つい先日も某国のテロに対して平和維持軍が介入したばかりだ。

世界には今、再び火薬の匂いが漂い始めている。





*この物語はそめちめ(@sometime1209)と同じ世界のお話です。

次回から本編が始まるよ!(多分)