G軍曹の書斎

小説です。

「ディザスター王国 ②」

静まり返った街に一筋の光が差し込む。朝日だ。

 
先ほどまで吹いていた陸風が止まった。凪である。


物音ひとつしない早朝の街に一人の男が現れた。
その男は黒いマントで体を包んでいる。 
 
''今だな...''男はそう言うとマントから手を出し何かを唱え始める。
すると風が男を包み、男の体が宙に浮かんだ。
どうやら浮遊魔法を唱えたらしい。マントの男は徐々に上昇していく。
ある程度の高さまで達すると、その体は城の方向へ傾いた。
 
今度は城の上空に一つの人影がある。先程とは違う男だ。マントはつけていない。
マントの男はその男に近寄る。
男はマントの男に何やら紙を渡した。
''これが例の姫様か...腑抜けた顔してやがる''    ''そうだ...「腑抜けた」は余分だがな...''
男たちは上空で話を続ける。
''この国にはもう奴らが来ている...急がねば......''    ''奴ら......国際警察か、じゃあ今夜か?...''
マントの男はコクリと頷いた。
そしてニヤリと笑った。
 
 
太陽全体が姿を見せると再び風が動き出す。
その風でマントの男はフラフラと揺れた。
''どうした...?''    ''昨日魔力を使いすぎた...''     ''大丈夫か...?''
もう一人の男がマントの男を支える。
''今日の夜までには治るさ...''
マントの男は大丈夫だ、というようにもう一人の男から身を離した。
一通り話を終えたのだろうか、男たちは下降を始める。
その姿が城の向こうに見えなくなったのと同時か直後に強い海風が吹いた。
 
 
一日の始まりである。
 
 
 
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太陽がちょうど真上に登ったころ、ブルーアイズは目を覚ました。
 
昨日の夕方、この国に入国(不法侵入)した後活動拠点となる宿を探した。が、どこも満室で、やっと見つけた部屋も一部屋しかなく、しかもダブルベットの部屋なのだった(シングルベッドが二つある訳ではない)。
 ブルーアイズは一緒のベッドでも全く問題は無かったのだが、リニアとの交渉(一方的)により、何故か床で布一枚で寝る羽目になったのだった。

それを思い出した彼は悲しい気持ちになる。

「もう昼か......」
ブルーアイズは窓の外を見てつぶやく。
そして、気持ちを奮い起こそうとするかのようにブルーアイズは体を起こした。
床で寝たせいか体中がバキバキである。うぅ......。
うめき声と共に起き上がった彼だが、寝起きの回想があまり良くなかったのか全くやる気が起きない。
昨日リニアと話し合った結果、警備や探知魔法が働いているため昼間は動けないという意見で一致した。
この国は四方を災害対策の魔法や壁で囲まれているため、下手に超えようとすれば探知魔法で見つかる。それにターゲットは昨日の交戦で魔法を使いすぎている、完全に回復するのはおそらく夜まで休まなければならないだろう。

故に今はやることがない。
グータラしているのはそういう訳である。
横にあるベットからはリニアの寝息が聞こえる。リニアはまだ寝ているようだ。

でも町くらいは見ておいたほうがいいか・・・、そう思った彼は服を着替え、出かける準備をした。
一瞬リニアを起こそうと思ったが、彼女を見た途端起こす気が失せた。
リニアは枕を抱きながら寝ている。ムニャムニャと寝言を言いながら寝返りを打つ。
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「寝顔は可愛いのにな......」ブルーアイズがそう思った次の瞬間だった。
「何見てんれすか......殺しもふよ..........ビリビリッ」
リニアは寝言(?)をつぶやきながら枕カバーを噛みちぎった。
彼女は微かに赤い電気を帯びている。どうやら夢の中で何かと戦っているようだ。
目の前で少し信じがたい光景を見たブルーアイズは何も言わずベットから離れた。
その額には汗が浮かんでいる。
(.............................................!!)

彼は「ちょっと出てくる」と紙に書くと自分のベット(床)に置いた。
そして、足早に宿を出ていった。





*この物語はそめちめ(@sometime1209)と同じ世界で進んでおります。
今回はもっと長く書けたんですが、挿絵の関係で少し短めです。
文も相変わらずの崩壊っぷりです^ - ^
何より一番悲しいのは挿絵の仕上げをミスったことですね。(後日、書き直したやつを上げるかも)


次回もよろしくお願いします^ - ^