G軍曹の書斎

小説です。

2013-01-01から1年間の記事一覧

「影 (ディザスター王国 ⑧) 」

「司祭様、こんな感じでいいですか?」とあるホテルの一室でスナイパーライフル片手に男は言った。高級ホテルにいたあの男である(4.5話参照)。その後ろには、ワナワナと震える女性がいた。その名は「アリエル」という。「お、お前...!!誰が殺せって言った…

「ディザスター王国 ⑦」

リニアがマントの男と戦っている頃、ブルーアイズは城の前に一人立っていた。一旦リニアと二手に分かれて国境付近に向かったブルーアイズだったが、特に何も無かったので戻ってきてしまったのだった。かれこれ30分くらいは経っただろうか...、ブルーアイズは…

「ディザスター王国 ⑥」

赤いものが散った、というのは正確な表現ではない。実際には赤い「火花」が散ったのである。それは紛れもなく電気の異能力を持つリニアによるものだ。リニアは赤い電撃をステッキの側面に当て軌道をそらした隙に横へ飛んで攻撃を回避する。身を翻しつつ、銃…

「ディザスター王国 ⑤」

すがすがしいほど美しい夜空が広がるディザスター王国。静まり返った街並に、今日は人影があった。リニアである。30分ほど前にブルーアイズと二手に別れた後、リニアは城の正面へ向かっていた。ちなみにブルーアイズは城の裏手にまわっている。完全に夜にな…

「ディザスター王国 4.5話②」

ディザスター王国のとある高級ホテルの一室に一人の女がいた。堂々としたその美しい風貌は女王を連想するほどである。そんな女は今、城下町を見渡せる程大きい窓ガラスの前でワインを片手に座っていた。「あー......暇暇ぁ〜」女は着ているバスローブをヒラ…

「ディザスター王国 4.5話①」

時刻は午後5時30分。お家大好きなディザスター国民はそろそろ家に帰る時間である。別にディザスター国民ではないリニアも宿へ戻ってきた。部屋に入るとブルーアイズがベットの上に座っていた。既に支度を終えているらしく、P.Pの画面を見つめている。リニア…

「ディザスター王国 ④」

ちょうどブルーアイズがG.G(ゲロガール)と出会った頃、リニアはベットの上で目を覚ました。抱きしめている枕は何故か破けており、中から羽が出ている状態だったがリニアはそれを気にせずベットから起き上がる。ふわぁぁ...とあくびを一つ。ボーッとする頭で…

「ディザスター王国③」

外に出るとさすがに昼間だけあって多くの人が市場やら店やらを行き来している。 市場でディザスター王国特産の「スターアップル」を見つけたブルーアイズはそれを買い、食べながら歩く。 さすが数少ない王政の国...といったところだろうか......。レンガを主…

「ディザスター王国 ②」

静まり返った街に一筋の光が差し込む。朝日だ。先ほどまで吹いていた陸風が止まる。凪である。物音ひとつしない早朝の街に一人の男が現れた。その男は黒いマントで体を包んでいる。 ''今だな...''男はそう言うとマントから手を出し何かを唱え始める。風が男…

「ディザスター王国 ①」

ここディザスター地方は、グラメリア、ボルケイ、ディザスター、ハルクードの4つの国からなる地方であり、国同士の結びつきが強く災害が多いことで有名だ。 この4つの国の真ん中にあり、中枢国でもあるディザスター王国は数少ない魔法の国である。魔女の血統…

プロローグ

200年にも渡る戦争が終わり、20年前の1月1日、全世界155カ国を対象とした「155カ国平和維持同盟」が結成された。文字通り、平和維持を目的とした同盟である。この同盟が成立するにあたり「司法」「治安維持(行政)」「立法」の3つの部門からなる国際組織「国…