G軍曹の書斎

小説です。

第一話「ハルクード共和国」

その国、ハルクード共和国はディザスター地方北部に位置する科学が発達した国家である。沿岸部にあり、交通などの整備が整っているため、大企業の本社や国際機関の支部が多く存在する。
また、この国はディザスター地方竜巻多発帯に属する国だ。
故に竜巻はおろか、最近では他の異常気象にまで対抗できる技術を持っている。
まとめると、この国は天気に強いのだ。

先日、ディザスター王国で起こった事件の主犯として逮捕された男、シャイン元騎士長はこの国の警察病院に収容された。
ようやく話ができるまで回復した、と病院から連絡があったので、事件を担当した二人が取り調べのためにやって来た。
リニアとブルーアイズである。

二人は今、国際警察支部に向かって歩いているところである。

ブルーアイズ「ルーンホテルの一室がガス爆発、5名の死亡...廃工場にて大火災、中にいた15名死亡...最近よく人が死ぬな」
ブルーアイズはコンビニで購入した新聞を見ながら歩いている。その横でリニアはメロンパンを齧っている。
リニア「ながら新聞は危ないでふよ」
メロンパンを口に入れながらリニアは言った。
ブルーアイズ「お前だって歩きながら食べるのは行儀悪いぞ!」
そういいながら、ブルーアイズはリニアの口にメロンパンを押し付ける。
リニア「メロンパンおいしぃ...じゃなくて着きましたよ国際警察ハルクード支部」
駅から徒歩五分。
二人の前には、立ち並ぶビル群の中でもひときわ目立つ高層ビル、「国際警察ディザスター地方ハルクード支部」が立っていた。
リニア「なんか凄い丈夫そうですね」
前にも言ったように、この国の建造物は竜巻などの被害を受けないように強化されている。
ブルーアイズ「取り調べは何時からだっけ?」
リニア「2時からですよ」
時刻は午前11時を指している。
予定まであと3時間。
ブルーアイズ「荷物置いたら何か食べに行こうぜ」
昼時のせいか、辺りには売店が立ち並び賑わいを見せている。
リニア「そうですね」


二人はそう言うとビルの中へ姿を消して行った。


「あいつらが仲間を殺したのか?」

ーーービルの間から二人を眺めていた男が言った。

『えぇ。そうです』

男の持っている携帯からまた別の声が聞こえた。どうやら通話をしているらしい。

「そうか」

男はそう言うと、路地裏に消えて行った。


ハルクード共和国を生暖かい風が吹き抜けた。