G軍曹の書斎

小説です。

「影 (ディザスター王国 ⑧) 」

「司祭様、こんな感じでいいですか?」
とあるホテルの一室でスナイパーライフル片手に男は言った。
高級ホテルにいたあの男である(4.5話参照)。
その後ろには、ワナワナと震える女性がいた。
その名は「アリエル」という。

「お、お前...!!誰が殺せって言ったよ!?これじゃあRemoveさんの持ってる能力がわからないじゃん!!」
「あ」
男は声を漏らす。笑顔で。

「ったくもう......まぁもう片っぽは観れたからよかったけど」
アリエルはソファーに腰を下ろす。
それを見た男は笑顔で銃の片付けを始める。
「そういえば司祭様、生きてる方の雇ってた奴を助けなくていいんですか?」
思い出したように男は言った。
生きてる奴...マントの男のことである。

「ああー、Remove自体暗殺を主としてやってる組織だからもう殺されてるだろうよ。仮に生きてたとして漏らされて困るような情報は持ってないはずだしー」
「面倒臭い・疲れた」を体全体で表しながらアリエルは答えた。

「じゃあ、あの偽情報を渡した屈強な騎士さんは?」
「んー、フエラムネが魔女の力云々を教えてあげた奴かー。どうなったっけ?」
フエラムネとは、同じ組織に属する一人の人間のことである。
見開いた感情のない目に、口にはフエラムネをいつも咥えているため、彼女はそう呼んでいる。

「確か、この国のお姫様の近くにいたあの少年が倒しました」
「あぁ、『ドラゴニュート』か」
アリエルはソファーに寝転がった。
その顔は眠たそうである。
「話には聞いたことがあったが、実際にいるとはなぁ...、それにフエラムネが調べてたのってそいつだったんだなぁ」
情報の漏洩云々を防ぐために、そういった情報のやり取りは必要最小限に抑えられている。
最も、彼女ほどの立場の人間なら簡単に知ることは出来るのだが。
「え?」
男は振り返る。
「あ、独り言」



男はバラバラにしたスナイパーライフルの最後のパーツをケースにしまう。
どうやら男は銃を片付け終わったようだ。

「どうします?司祭様?」
「少し寝たーい、眠ーい......」
「お供します♥︎」
男がソファーにダイブしようとした時だった。

バァン!!!、破裂音が響いた。
直後に「どふぅっ!!」という断末魔が室内に響く。

今度は天井に男がめり込んでいた。
「やはりお前の前では眠れん、行くぞ」
アリエルは言った。
「らbka&vgs@ふ(了解です)」
男は天井から降りる(落ちる)と笑顔で立ち上がる。


「次はどちらへ?」
「とりあえず戻ろう」


そう言い残し、彼らは消えた。





*この物語はそめちめの書く物語と同じ世界で進む物語です。
    次回は多分最終回です。